初めてお会いしたとき、その事業主は過去の栄光や実績を自慢げに蕩々と語ること40分。
「かつて、上場会社で多くの実績を上げてきた自分が、なぜ“こんな処”に相談に来なければならなくなったのか自分でも考えられないことだ……」という。
「ところで債務の状況は……?」と尋ねてみると、ようやく一枚のメモ書きを内ポケットから取り出してシワを伸ばしてテーブルに置いて差し出してくださった。
テーブルに広げた“メモ書き”は罫線で整理されているわけでもなく、私のノートに表罫を作ってそれに書き写し、銀行、サラ金、などから借り入れた債務の全体像が把握できるようになってきた。
すでに事業資金を借り入れていた銀行からは信用保証協会に代位弁済の手続きについての書簡が送達されてきているという。更に、サラ金からは、携帯電話に一時間おきに電話が入っているらしい。
もしかしたら、メモ書き以外からの借入があるのではないだろうかと尋ねてみたら、案の定、街金融と友人から借りているとのことだった。
メモ書きの債務額を集計すると4000万円位だったのだが、追加分を含めると5000万円を超え、事務所に戻らなければ分からないという買掛金などの未払い残の金額を集計すると7000万円近くになる様子だ。
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