しかし、親から相続して欲しいと望まないのに手に入った財産のトラブルで、悩み苦しんでいる人がいかに多いことか……。そんな悩みごと相談にいらっしゃる方々の中には、親が「厄介なものを残してくれた……」と、兄弟姉妹間の仲違いの元凶になっていたりしていることを悲しいと思い、真剣に悩み苦しんでいるわけです。
特に、不動産についてはいえば親が遺してくれた財産を一つ一つ評価して相続人全員の意見が一致して平等に分けたとしても、実のところは誰かが平等だと思っていなかったりする場合もあるのです。
「年々歳々人不同」の言葉のように、分ける前はそれを納得していたとしても後あとになってから異議を唱えたくなる人が出てきたりする場合があります。
もとより不動産は、唯物的価値評価がなされるものであることをそれぞれが認識していないから後になってトラブルになるのでしょう。1メートル離れているだけで評価が変わるし、間口が1p少ないだけで建築できなかったり、ましてや、将来道路に面する土地になるとか、近くに駅ができるとか、将来に向けた時間経過によってその評価が変わるものでもあるから、相続人間でしっかり確認しておく必要があります。
あとあと問題を避けるためには、相続発生時に売却して現金で分配することも、後々のトラブルを解消するために必要なことになると思います。
問題になっている「金融派生商品」が相続財産にあった場合には、やはり例え評価が低くてもあえて現金化して分配する方が、トラブルを引きずらずにすむからお勧めです。
財産とは、持っていない人は欲しくなり、一度手にしてしまうと手放したくなくなり、もっと欲しいと思うようになる。そして、持っている人は、それが減らないようにとあれこれ悩み、時にはその分配方法によって人の心までもが歪んでしまうことになるものなのです。
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