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Vol.44
パチンコ浪費癖から抜けられずに借金が…?
 

 


パチンコ浪費癖から抜けられずに借金が…?

 
 


現在、浪費癖がひどく、パチンコ、競馬などの博打が好きで、
自分では金銭の管理が出来ないという千葉市内に住む青年の
任意後見人を引き受けています。
  パチンコ浪費癖を改善させようと毎日、毎日、判で捺したように
3千円ずつ振込続けている私と、手元にお金があれば有るだけ
使ってしまう今までの生活態度を変えたがらない彼とのバトルは、
毎回会うたびに意見が噛み合わず、数時間を一緒に過ごして別れた後は、
身体中の血液がドロドロになってしまったのではないかと感じるほど
ヘトヘトに疲れ切っていて、2、3時間は何もする気力が無くなってしまうほど
マイナスの気を浴びた感覚が残っています。

 正月休みがあったから、彼と毎月通っている千葉市のその病院へ
行くのはおよそ40日ぶりになります。血液検査の結果が少しでも良くなっていて
欲しいが彼の生活状況を推測すると余り期待できない。
今年の正月は久々に娘が会いに来るというので、
父親として精一杯の歓迎をしてやりたいと思い、
師走の始め頃から落ち着かず少々舞い上がり気味でした。

 年末から娘がやってきました。
せめて正月は「おせち料理」でも…と父親として精一杯の準備をして
歓迎していました。娘さんを交えて私と三人で会話をしていても、
病気を感じさせないような平常の父親ぶりを演じている彼の姿はやはりお父さん。
しかし、私を交えて話すときの取り繕うようなその場の空気は…
「他人には早く帰って欲しい…」と云わんばかりで落ち着かず、
彼の精神的な負担は最高潮であったに違いありません。
そんな正月を過ごした直後のことです。
たぶん…中身の濃い正月生活の反動によって、
少々のトラブルがあるだろうことを予め想定はしていました。
それは、娘が帰ってしまった空虚感と、これといってやることがない
自宅療養生活の暇な時間の解消方法のひとつとして、
彼が再びパチンコ屋へ通うようになることでした。

 そんなこともあろうかと…特にパチンコ屋通いは 予め釘を刺して
おいたのですが、残念ながら、私の期待は見事に裏切られてしまいました。
成人式を挟む…3日間の連休の前に、金、土、日、月の4日分の生活費の
送金をしておいたのですが、送金した金曜日の午後には全額を引き出し
パチンコ屋へ行き、健闘するも空しく…僅か1時間足らずで全額を浪費してしまったようです。

 そんなわけですから、金曜日の夕方からは、
ひっきりなしに電話がかかってくるようになりました。
いつものことなのですが、手元にお金が無くなると、
「そんなことあるわけないだろう…」と思うようなことも含めて
驚くような理由を延々と並べ立て、何とかして送金させようと
執拗なほどの勢いで電話攻撃をしてきます。
相手は時間が有り余っている人ですから何度でも電話を掛けていられるでしょうが、
こちらは仕事中であったりすると、ほとほと参ってしまうこともありますが、
そんなことで挫けていたのでは彼の思うつぼに填ってしまいます。
哀れそうな声を作りながら…少しでもお金を送ってくれという彼に対し、
「約束した以外のお金は送れないけど、食べる物なら宅配便で送ってあげるから…」
と云うと、「食べ物は賞味期限があるからいらない…」と云って、食料を送ることを断ってきた。
彼の説明では、「いま手元には2千円少々しか残っていないので…」と云うので、
2千円あれば3日間を過ごすことは出来るだろうとあえて心を鬼にして
「3日間をそれで乗り切りなさい…」と、冷たく返事をしておきました。
彼の場合は、「いまは手元にお金がない…。
お金がないからパチンコはよそう…」とは、残念ながらならない。

行きつけのスナックのママから6万円を借りてしまったようだ。
私が任意後見人になる前にも、数十万、数百万円の借金をつくってしまい、
会社や自宅に怖い街金融のお兄さんが頻繁に顔を出すようになったことがあって、
結局親が全額を支払って解決したという話を聴いていますので、
どんなことがあっても新たな借金だけはさせてはなりません。
ですから、頻繁に小さくお金を管理しながら送金してあげて、
その使途を確認しながらお金の大切さを話し合うようにしています


 


●小さな約束…せめて小銭は郵便貯金に…?

 
 

              

 昨年8月頃から「せめて娘へ贈るプレゼントぐらいは
自分が貯めたお金で買ってあげられるようにしようよ…」という提案を受け入れてくれて、
1回に千円にも満たない小銭ですが、私が彼の家に訪ねるたびに
一緒に郵便局へ行ってATMで入金するようにし、
何とか少しずつでも貯金をするという習慣が身につき、
お金が貯まっていくことの歓びを感じて欲しいと期待をしていました。
あともう少しで1万円の大台になる金額まで貯まってきた通帳を見る
彼の表情も満足そうなので、小さな成果を見つけられた気がして、
彼も少しずつでも続けていくことを約束してくれました。

 新年でもあるので、彼に「病院に行く前に、今年の貯金初めをしに行こう…」と
貯金通帳を持ってくるように声をかけると、突然声を荒げて
「何でそこまで管理されなくちゃいけないんだ…。」
と大声で叫び私を睨みつけるようにそれを拒否するのです。
「なぜ…?…通帳を見せられない何かがあるんだ…」と
彼が弁明するまでもなくすぐにその反抗の理由が分かりました。
彼の説明によると、「去年の暮れに娘が帰ったあと
どうやって時間を潰したらいいかわからなくって…(パチンコ屋で使ってしまった…)」
それと「11月に(パチンコ屋へ)行った時は9万円も取ったんだ…」と、
得意げにつけ足して弁解を云う。
時間がつぶせて稼げるんだからこんなに都合の良いことはないだろう…
と云わんばかりで、いつものことながら、ほとほと呆れてしまいましたが
「まとまったお金が手元にあるとパチンコ屋に行くためのお金になっちゃうから…
これからも毎日3千円ずつ送金する方法は変えないから…」と、
いっこうに改まらない浪費癖を鎮めるような良い妙案はないものかと悩む私です。

 また小さな約束をしてきました。小銭の貯金を再開すること。
どうしてもパチンコ屋へ行きたい衝動に駆られたら、
すぐに私の持つ彼専用のPHS携帯電話に連絡してくること。
でも、何処にいても…どんな時でも…頭の中から彼のことが消えないという、
時に…恐怖感のようなものを感じることさえあります。
リスクカウンセラーとして、今のこの対応に悩む今日この頃です。