じっくりと話を聴き終えた。いよいよリスクカウンセラーの出番のようだ。幸いなことに、これまでの借入に対して自分以外の親族や友人などが連帯保証人になっている人は誰もいなかった。
それならば…と、事業計画書をつくって金融機関に「リスケジュール」の交渉をしよう。「パソコンは出来ますか?」…と、社長に聞いてみた。「ワードは出来るけど…エクセルはよく分からない…」と言うことだった。それでは…と言うことで、社長に宿題を出した。ワードが出来るなら…と「@いま、まずかったな…と反省していること、A自分がこうなると良いのに…という希望すること、B今の仕事をどの様にすれば売上が上がると思うのか…」。ベタ打ちで良いから思いつくまま書いてもらうことにした。
次の宿題は…、「表を作っておけば数字の入力だけなら出来るでしょ?」…と、言うことで10期分の決算書の数字を入力できるような「決算書推移表」と「売上計画書」のフォーマットを作成し添付メールで送信した。
連帯保証人がいないから、思い切った対応が出来る。 入力された表から様々な資料を作り上げた。「元本弁済猶予のお願い」「事業計画書」「資金繰り表」「過去と計画のグラフ化資料」「取引先との新規受注の議事録」など1週間ですべての資料ができあがった。
社長は慣れないパソコンに向かい、表にデータを入力しながら考えたという。「なぜ…今までこういう資料を作ろうとしなかったのだろう…。入力した表からいろんな事が見えてきた…」と、大いに反省したという。
リスクカウンセラーが纏めたとはいえ、提出した資料は自分で入力して作った数字だ。金融機関に提出したときにも何を聞かれてもすべて答えられたと言っていた。 丁寧に頭を下げてお願いをしてきたとのことだ。
「あとは…計画書通り…いや、計画書以上の数字を達成できるように頑張るだけです…。」と…笑顔いっぱいの自信ありげな言葉に安心して見送った。
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