さいたま市から67歳の社長が相談にいらした。友人からの紹介だった。3期分の「決算書」と「債権者一覧表」を準備していた。直近の試算表はないという。直近の決算書といっても10ヶ月も前のものだった。
会計事務所に顧問料を支払っていないので、伝票はとりあえずファイルに綴ったままの状態のようだ。
債務金額が約8000万円ある。その内訳は…金融機関が4800万円、ノンバンクから1200万円、サラ金から500万円、親戚から400万円、友人から300万円、暴力団の高利金融が200万円、約2ヶ月分の買掛金残高が…となっている。
前期の売上高が5000万円。粗利益が20%。現時点での月次の実績は、売上高=400万円、借入金返済額=80万円、営業経費=150万円。
もう…1年前から、金融機関からの借入ができない状態だという。さもあらん…と思う。
社長は「先生…今日もお客様に600万円ぐらいの見積書を出してきて…今月の末には受注になるんですよ。何とか頑張って会社を続けたいのですが…どうしたらいいでしょう…」と云うのだ。
それでは…と、持参してきた資料を参考にして聴き取りを始める。だが…せめて半年分の資金繰り表を作ろうと、月次の経費と弁済金額を記入を済ませ、具体的な受注計画を記入する段階で作業がとまってしまったのだ。
これから営業活動をすれば売上は最低でも500万円は確保できるというのだ。粗利率が20%の仕事だというのだから粗利益は100万円です。
「社長!500万円の売上ではこの会社は赤字ですよ…。750万円の売上金額でやっとトントン。しかも…返済はゼロじゃなくては続けられないですよ…」と、ここで損益分岐点を分かり易くノートに書きながら説明する。 |