数億、数十億、数百億円の資産家から持ち込まれる相続問題には、
所有する資産をいかに減らさず次世代に引き継ぐのかが課題になって、
本人たちの誤った行動によって親族間の骨肉の争いにまで発展することになるといわれ、
相談を受け対応する税理士、コンサルタントの苦労は並大抵のものではないと言います。
数千万、数億円、数十億円の債務を抱えている小規模企業経営者からの相談を受けて
対応しているリスク・カウンセラーは、債務額の大小もさることながら、債権者から厳しく催告される
精神的な心労に耐える力を失いかけているその人の心に、
事業再起への希望、再建への道筋、家族や従業員への対応など、
消えかけた心の灯火に添うように新たな希望の灯火を立てて差し上げるのが大切な役割になります。
リーマンショックの影響を受けて元親族の経営していた会社が破産し、
その会社の借入金とリース契約の連帯保証人になっていたことで5000万円を超える
多額の「保証債務」を背負ったAさんとの出会いから3年は、
私にとっては瞬く間に過ぎた感じでしたが、当事者にとっては自分が期待していたようになるのか
不安な日々であったと語っておられました。
同じ頃ご相談に見えたBさんも、親族の経営していた会社の借入金の連帯保証人に
なっていたために、その会社の経営破綻と同時に4500万円の「保証債務」の請求がされ、
途方に暮れて相談にこられました。
突然に降りかかってきた親族の会社の「保証債務」に対し、混乱する精神状態を
いかに冷静に受け止められるようになるのかがリスク・カウンセラーが対応することの
一番大きな役割であると思います。
法律家から「法律の不知は許さず」という言葉があることを聞いた時、
法治国家として当然のこととは謂え、万人に公平・公正な法律の厳しさに晒されたときに、
返す言葉のない悔しさや担うものの大きさに対する辛さは、
本人にしか理解しがたいものだとしみじみ感じます。
問題解決のための作業に寄り添いながら関わりを続けていくうちに、
真っ暗闇な洞窟の中に閉じ込められたような世界にも、
一条の光が差し込んできたような実感をもてた瞬間から、声のトーンが大きく変わるのです。
それは、きっと希望の光なのでしょう。
◆時間という偉大な魔術師を味方に付けて…
自分がトラブルに直面したとき「あいつが悪い!」「あいつが憎い!」と原因や結果の責任を
他人に転嫁している間は、一向に問題解決の道が開けなくなり、
むしろ自ら進路に大きな壁を作っているような状態なのだと感じます。
責任の「他人転嫁」の気持ちが取り去れると、それまで尖ったような表情から、
丸みのある穏やかな表情に変わっていくのがはっきりわかるから不思議です。
リスク・カウンセリングの対応として、相手(債権者、係争相手など)との時間軸の制約によって
一刻も早く問題解決の道を導き出さなければならない場合もありますが、
多くの場合には、あえて”答えを急ぐことはない〜”というスタンスで対応をしています。
「時間という偉大なる魔術師」を味方に付けて、心と経済の悩みを解決しているのが現状です。
男性経営者の場合の悩みの方が深刻で、自分が創業させた会社でも
親から承継した会社であっても、
「このまま続けるには地獄の世界、止めてしまうのも地獄の世界…」
と”辛い辛い〜”と深刻極まりない実態を抱えているのが特徴で、
その辛い理由を解きほぐして本人から切り離すことがリスク・カウンセラーだから
出来ることなのかもしれません。
私と相談者に味方してくださる多くの専門家の先生方と「時間という魔術師」との融合こそが
問題解決のポイントです。
「あれほど見栄張りの経営者が…」と時間とともに変革していく状況に、そのつど感動している日々です。
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