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Vol.91

◆ラポール形成ができない拒否する態度
 

 

◆ラポール形成ができない拒否する態度


 
 

心理学用語に『ラポール』という言葉があります。人と人との“信頼”や“親近感”といった感情のことで、
カウンセラーは、クライアントとのコミュニケーションを深めるために、この『ラポール』を大切にします。
 もしも貴方の上司が、貴方が熱心に報告しているのに、頷きもせずガッチリと腕組みをしているとしたら、貴方はどうしますか?
 「ふんっ、そんな話ばかばかしくて聞いていられるか…。早く終わらせてくれ!」という雰囲気にさえ感じませんか?

 一方、腕組みをしないで少し前傾姿勢で貴方の顔を見ながら頷いてくれたら、貴方はその上司に対してどう感じるでしょうか。
「そうか〜、君の話はよく理解できた。とても参考になったよ。これからも積極的に情報を報告してくれたまえ…」と感じるものです。

 腕組みをして他人と接する態度は、拒絶の意志を表現しているのですから、精神的にも気まずい雰囲気を醸し出すことになります。
腕組みをしない態度は、上司に対する部下からの信頼度が高まり『ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)』がスムーズに展開するので管理職は日頃から心がけたいものです。

◆上司のとる態度が部下の行動を俊敏にさせる…

 一人の上司の行動は複数の目が注目しているものです。自分に対する態度だけでなく、同僚に対して接する態度はしっかり観察されています。
10人の部下がいれば20の瞳が観察しているのだから、その中の一人に対して他のメンバーの批判をすることは、決して好ましくないことです。もしかしたら、自分も何処かの場面で同じように言われているかも知れないと思えば、その影響は全体に悪い影響を与えることと也、上司の言葉を信じることが出来なくなってしまいます。
組織をスムーズに、しかも俊敏な行動を取らせるには、上司がとっている日常的な態度が部下にやる気を起こさせ、指示に対しても俊敏な行動をするようになるのです。
それは、自分の行動を支援してくれ意見を受け入れてくれる…という、上司と部下の間の親しみと信頼関係の『ラポール』が形成できたことになるからです。
上司に限らず、顔を合わせて話をしている相手が、真剣に話を聞いてくれているかどうかではないでしょうか?
腕を組んで椅子に浅く座っている相手にあなたは話がしたくなるでしょうか?
こうした光景は、講演会やセミナーの受講生の中にもときどき見受けられます。
講師の講演を腕組み(拒否する態度)をして聞いている人には、講演の内容は十分理解されていないとされています。

◆胸襟を開いてコミュニケーションを図る

 「社員に何度言ってもなかなか実行しない。やり始めても永く続かない…」と嘆く社長(部長)からの質問に対する答えはこうです。
「部下に対して接するとき、すぐに腕組みをする習慣を改めませんか?」とお話しします。
「ご自分の方から“胸襟を開く”行動を取れば、社員とのコミュニケーションはきっとうまくいくはずです」と言うと、少し嫌な顔をされます。
「お互いに、“胸襟を開いて”語り合おうではないか…」という言葉がありますが、胸襟を開く(confide in somebody→誰かに打ち明ける)と言うことは、上司の方が先にその行動を取るようにすれば、部下はその行動に響くように反応してくるようになります。
社内の風通しが良くなるだけでなく、上司の命令に対しても、速やかに反応するようになることは間違いありません。部下が動かないのは上司の責任なのです。