トップページにもどる  

Vol.80

●“再生か?破産か?『起死回生』を図るには・・
 

 


●“再生か?破産か?『起死回生』を図るには・

 
 

 

  予測ができない天変地異でもない限り、どのような企業であろうとも経営危機は突然やってくるものではないのです。
 時流に乗って成長している企業でも、何の問題もなく成長し続けるとは考えられません。事業が順調に推移し十分な内部留保ができたとしても、親会社が倒産したら事業を閉鎖しなければならないかも知れません。
 きちんと真面目に経営を続けているから自分に限っては経営危機とは関係ないと言う経営者は、人の言葉に耳を傾けない傲慢さがアダとなり、万一の時の経営環境の急変に対応できず、再生支援に関係する専門家を悩ませる場合が多く見られます。
 企業再生の『スクリーニング』は短時間でしなければならない大切な工程。社長や関係者からの収集情報をもとに現状までの顛末をヒヤリング。
 出来上がった『スクリーニング資料』と『再生計画案』をもとに経営者との再生方策の具現化に取り組むわけですが、『再生計画案』を作成することすらできない危機的な企業が圧倒的に多く、“再生可能”と見込まれる企業は僅かに1〜2%にすぎません。
 もしも、スクリーニングから『再生不可』の判定の場合は破産申請も検討されます。
 破産申請をするからには個人債務が免責にならなければ意味がない。
 よほどの高齢者でない限り、破産申請した後に何らかの形態で再起してほしい。それには、『起死回生』ができるように、平時から万一の時ことが起きても良いように身辺準備をしておかなければならないのです。

 

●“起死回生”には健康、人脈、経済、環境の備え

 
 

 
 “起死回生”を果たして、早々に新規事業に取り組んでいる経営者をみると、「事業再生」「破産整理」に着手している時点で、すでに再起できるだけの周辺環境が出来上がっていることが分かります。
 『起死回生』とは文字通り“死にかけていたものを生き返らです。大切なことは、会社が死んでも経営者は元気に生きていることです。
 経営者が元気に生きていると言うことは、会社が瀕死の重症であっても経営者の「4K」(身体:Karada.心:Kokoro.経済:Keizai.環境:Kankyou)はピンピンとしていると言うことなのです。
 会社の経営状態を常に客観的に観ている経営者であれば、経営危機を早期に察知して対処しておくこともできるのです。
 瀕死状態になった会社を自力で再生するということは困難極まりなく、「再生・再起」の実践経験が豊かな専門家の支援によって、不可能と思われていたことが可能となることが多々あるのです。
 「あの人のする事業なら応援してあげたい!」と思うような実直、行動力、事業の将来性、を感じられる経営者像に周囲の人は惹かれます。
 “起死回生”ができる経営者像とは……
@心身が健康であり、A精神的に支えてくれる人がいること、B物心共に支えてくれる家族や友人を大切にし、C魅力ある確かなビジネス環境を整えている人です。
 それでは“起死回生”が難しい経営者像とは……
@健康管理ができず事業経営に挑む体力がない経営者
A財務管理ができず粉飾決算を繰り返してきた経営者
B親族や友人から恩借り経営を続けてきた経営者
C見栄を張り続け「見切り千両」ができない経営者
D自己反省がなく経営危機を他人に転嫁する経営者


  ●“再起”には豊かな経済の裏付けが必要だが・・・・  
 
 経営危機になってから、慌てて社長名義の資産を隠蔽することは、破産申立をしたとき裁判所から“詐害行為”として否認されることになります。
 社長名義の不動産の売却などは、金融機関から担保提供を求められる前にしておかなければ二進も三進もなりませんので、事業の業績が停滞し始めたときには、早めに専門家に相談して客観的判断のもとに“企業再生”の方策に着手することが必要です。
 “企業再生”のための資金の捻出には種々の方策がありますが、後々になって問題にならないように適切な処置によらなければなりません。
 “起死回生”には、関係する周囲の人々からの応援が何よりの原動力と言えるでしょう。