●嫌な言葉…お笑い芸人のネタ『ゲスの極み!』
夜9時過ぎに家に帰り、その日の出来事をTVニュースと夕刊紙から情報を得て、ときどき観る娯楽番組はお笑い芸人が出演している番組ばかりで、景気も少しは回復してきたことだろうし、予算を掛けた番組が出来ないものかと感じているのは私だけではないだろうと思う。
とは言うものの、古びてきた我が右脳を活性化するためには、お笑い番組は適度な刺激剤となっていることは否めないことは認めるが、なぜこの芸人が受けているのか理解できないネタがある。
それが『げすのきわみ〜』で観客から笑いを取ろうとしているその番組内容に、イヤ〜な気分になってくるのは自分だけだろうか。
『げすのきわみ』という言葉をさまざまな辞書で調べてみると、ある辞書で『げす』とは…
「この上なく下劣で品性が卑しいさま」
「人として最低であるさま」
「心根の卑しいこと。」
「身分が低い人。」
「これより低劣な者は他にいるまいというほど品位を欠いている様子」…とある。
『げす』とは漢字では『下衆』とか「下種」「下司」書くようで、明らかに相手を上から目線で最大限に見下している表現の言葉としか言いようがない。
『下衆(げす)』は人物に対してだけ用いるのではなく、その人がした行為自体を対象として言うような場合もあるようですが、「下司、下種、下衆」の言葉は「相手を蔑称するときのもので、普段はあまり使用してはならない言葉」と注釈の付けられている辞書もありました。まさにその通りであると私も同感するところで、その言葉をTV画面を通して、多くの子供たちや青年が観ているのだから、『差別用語』として控えるべきではないかと思います。
例えば、会社や組織の中で、上の立場にある者がその部下に対し、その立場を利用して卑猥な行為をするなどは、「下衆と言われるような行為をした」という表現をするらしいが、『パワーハラスメント』という現代用語に置き換えて表現することの方が、やはりスマートで良いと思う。
●『ゲスの極み!』の反対語が見つからないのは?
何かよからぬ企みをしている時の顔や、非人道的な行為に喜んている表情や、生理的に不快に感じるような表情も『ゲス顔』と言うのだそうですが、やはり、一般社会においてはほとんど用いることはあり得ないと思います。
『ゲス』という言葉には、相手を自分より下位の者として見下し、更に、この上なく険しい言葉と、憎さを込めた表情で相手に叩きつけるようにして用いる言葉と考えられますが、人間社会における極めて一方的な表現の言葉だと思います。
そこで、『下衆の極み』の反対語はどのような言葉なのかが思い当たらず、同様に辞書で調べてみましたが、これぞという言葉が見つかりません。
『ゲス』の反対の立場にあるはずのものが「人間社会には存在しない?」と言うわけはない筈だと思いますが、見つからないのはなぜでしょうか。
人を自分より下に観ている人ばかりではないはずですし、人類史上で世界の誰もが認める偉人や、自分が尊敬しているさまざまな世界で活躍をしている方々に対して『上衆の極み』という言葉は辞書にもなく、使ったことも聞いたこともありません。
下と言えば上、白と黒、表と裏、表と裏、寒と暖、光と影というように対峙する反対語が沢山あるように、「ゲス」に対する反対語がないのはなぜなのでしよう。
本来、人は「上」をめざして日々の生活の中で積善の行為をすることによって成長しているのだから、目指す方向の「上」を観ることより、「下」を観て、「下」との距離感をより大きくとる言葉によって、『自分自身が優位で心地良い』とでもいうことなのでしょうか。
人間とは、それほどまでに傲慢な生き物なのでしょうか。近いうちに、お寺の住職さんに会って教えていただきたいと思います。
まだまだ自分の修行の足りなさを痛感しつつ、平常心を整えたいと思います。