Vol.8 ビワ温圧療法師の資格を得て知ったこと・・・
     
  ビワ温圧療法師の資格を得て知ったこと・・・  
  これまでに100人を超える相談を受けてきた。トラブル処理に翻弄されを背負って相続が発生して哀しみが癒えないうちに親族間で争いが生じ、精神的に追い込まれて循環器疾患になっている相続人。 はたまた、事業不振が続き何とかしなければと資金繰りに奔走し疲れ果て躁鬱病や重度の生活習慣病で治療もままならないという中小企業経営者。
とくに債務超過でトコトンまで頑張ってしまった社長達は、生命保険を解約して資金繰りにつぎ込んでしまったということがよくある。国民健康保険の保険料の支払いも遅れがちに納付している。すでに保険を解約してしまったので入院すら出来ない。
債務整理の手伝いをしてあげると本人はかなり楽になるようだが、再起に向けて肝心なのは本人のやり直そうとする気力があることなのだ。気力を生み出すには身体が健康でなければならない。満足に声すら出せない状態の社長もいる。何とか元気になってほしいと思うようになった。
自分の会社が倒産し、管財人について整理処理をしていた昭和62年、ある人の紹介で「ビワ温圧療法師」の先生に出会っていた。引き合わせてくれた人はそれまで自分の仕事とは全く関わりのない人だった。いま思うと不思議な縁による出会いだ。
リスク・カウンセリングの仕事として債務の問題を解決できても、本人が立ち直れるようになるには「社長の身体が健康になるように手助けしてあげるようにしたい!」と云うわけで、平成9年の8月に熊本へ合宿研修に行き「ビワ温圧療法師」を修得してきた。
 
     
  仏教医学でいう「根本療法」から学ぶこと  
  研修の冒頭に先生から云われた言葉はショックだった。それは「病気になった人は自分が好んで病気になっている…」と云うのだ。時間が経つにつれ徐々に理解できてくるのだが初めは驚いた。紙面がないので詳細は書けないが、自分の身体(60兆個の細胞)が嫌がることを自ら放置していた結果だという。つまり、精神的に疲れ果て、心や肉体が痛みやとなって悲鳴を上げているのを無視して変わらぬ生活を続けていたから、免疫力が下がり元気だった細胞が疲れ果て病気という形で眼に見えるように警告しているのだという。
「私は病気になってしまいました。先生!早く直してください…」という患者は治らないという。「私は病気になってしまいましたが…。先生!私は自分の生活習慣を改めて体力が付くように努力しますから…どうか良いアドバイスをください…。」と云う患者は治るという。
自らの意識で、自らが率先して行動し、患部の状態をしっかり認識して治そうとしない限り病気は治らないと云うことのようです。
身体の痛い部位の痛みを感じないように痛み止め注射を打ったり、切除したりする対症療法よりも、そうなった原因を追及して改善して行くことが根本療法です。
自分の会社の何処の箇所にどんな問題があるかを知らないで、会社を建て直すことが出来ないのと同じです。会社再建の際によくあることだが、問題点を指摘されているにもかかわらず、それを認めようとしない幹部や経営者のその姿勢も同じようなものだと思います。
 
     
  社長自らが決断すれば必ず再起できる!  
  中小企業の債務超過のご相談の場合は、できるだけご夫婦でご来社いただいている。何故ならば、それは会社の問題だけでなく、むしろご家族としての問題であるからだ。仕事一途の社長と経理事務をしている妻というケースが多いからだ。何とか仕事が続けられるようにさせてあげたいと必至に資料を作ってきて説明している妻の脇で、窓の外の何処を見ているのかボーと虚ろな表情の社長がいる。声をかけても応えが返ってこない。債権者との対応に混乱しているご家族には気の毒だが、とりあえず債権者への対応の仕方をアドバイスして、その場で無理に社長の決断を煽るようなことはしないで暫く時間をおくことにしている。
1週間ほど経ったある日、社長から携帯電話に電話がかかってきた。家族達が考えている方向で進めたいとのことだ。ホッと安心した。「進めても良い……」ではなく「進めたい!」と自ら意志を明言したからだ。
  壊れた体調を早く元気にして、新たにやり直したいので自分が優先的にすべきことを教えて欲しい…と、腹の底から出る声が頼もしくさえ感じる。

その後の社長の行動は早かった。財務の資料も社長自らが整理してまとめ上げてくるし、あっという間に弁護士が必要とする書類が整った。裁判手続きは粛々と進み、6ヶ月後には免責決定も下りた。体調もすこぶる順調のようである。小さな事務所を借りて新たな出直しが始まった。後日談ではあったが「あんなに頑張って苦しんでいたのがウソのようだ。家族にもずいぶん迷惑をかけた。もう1年早く決断していればよかった……。」とも云っていた。
いつかの日に、空白の1週間について聴かせていただけることになっているのだが……。