多くの不動産を所有する資産家や、中小企業経営者が突然亡くなったとき、預貯金、不動産、有価証券、美術骨董品、生命保険金などは、存在を身近に感じられる『プラスの資産』です。
それらは文書類や現物であったりすべて目に見えているものばかりなので、相続人は真っ先に確認していることでしょう。
それでは『マイナスの資産』の主なものを挙げてみると以下のようなものがあります。
@住宅ローン、キャッシング残高、借入金
A割賦残高、クレジットカード利用残高
B公租公課等(固定資産税、住民税、社会保険料)
C保証債務(借入金、リース契約、友人の連帯保証人)
D信用保証(包括的信用保証、身元保証、賃貸借契約)
金融機関に残高照会をすることで“借入金”などの金融の“負の資産”が確認でき、さらに市町村の資産税課で“名寄せ帳”を縦覧することによって、被相続人が所有する不動産の一覧が確認できます。
そして法務局では不動産登記簿謄本の乙欄の記載内容から、抵当権設定などの金融機関以外の債権者を確認することができます。
被相続人が“企業経営者”の場合は「C保証債務」を絶対に見逃すことはできません。企業の事業の借入金や設備機器のリース契約は間違いなく連帯保証人になっていますので必ずチェックが必要です。
それでは、自分と同じように事業をしている友人に頼まれて連帯保証人になったことは、本人が書面として親族に分かるようになっていなかったらどうなるのでしょうか。
社長が亡くなって相続を実行するときに、被相続人が友人の連帯保証人になっていることを知らないまま相続してしまい、それから数年経ってから友人の会社が倒産し連帯保証人としての保証債務が顕在化したら、相続人はそのマイナス資産も相続しなければなりません。
|