時に、経営者は常に孤独です。経営陣を招集して経営危機に対する意見を求め、全役員が異口同音の意見に纏まることになったとしても不安を感じ、意見が纏まらなくてもその混乱を纏め上げるための智慧と勇気が求められます。
経営者が、我が身の保身を優先して判断した結果には他の経営陣や従業員のパワーによる『復元力』は期待できないものとなるでしょう。
経営者が、我が身を捨てて“起死回生”の決断をしたときは、社内からの『復元力』が全開するだけでなく、金融機関や取引先などの外部からの支援も得られることになる可能性が高い。
大局的な観点で判断をして決断したならば、その計画を速やかに実行に移す機敏さが必要になります。
“起死回生”の方向性で戦略をたて再起に臨むときは、平時の3〜5倍の時間の早さで事態が進展していくことに留意していないと、思わぬアクシデントによって余儀なく計画変更ということにもなりかねないのです。
速やかなスクリーニングの為には、全体像が把握しやすい情報提供が大切であることは前述の通りです。あとは、経営者が、自ら胸襟を開き、人間としての裸の自分をさらけ出すことによって、時には社員と融合し、時にはカウンセラーと融合し、全身全霊を出し切って臨んでこそ、目的が成就する可能性が高まるのです。経営者の勇気ある行動は、危機に直面したときにこそ発揮しなければなりません。
危機に直面したときの経営者は、心身共に疲れきっているのですから、悩みごとを出し切って楽になることによって新たな活力が生まれてくることになるのに……。そのことを理解してくれると、問題の8割は解決したことになるのです。
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