自分がリスク・カウンセラーとなって債務超過で経営に苦しむ中小零細企業の経営者から相談を受けるようになって20年近くなります。
相談者は、経営者だけではありません。
高齢になった親と同居して、毎日の介護に疲れて爆発させたい気持ちを抑え、それが精神的な重圧となって苦しんでいる人、親族間で発生している相続問題で混乱している家族もあります。
家族問題に引き込まれてウツになり、仕事に就けない若者が悩んでいるといってその青年を連れて相談にいらっしゃる方もあります。
そうしたウツの人々との出会いは、それぞれ偶然の出会いであって、意図的にウツの人を発掘しているわけではありません。
小規模企業の経営者が資金繰りが順調であったときはともかく、資金繰りが厳しくなったときに一度も「ウツの気分」にならなかった経営者が果たしているでしょうか。
経営不振で相談にこられる経営者との出会いは、多くの場合「ウツ症状」の人との出会いと言っても過言ではないと感じています。
金融機関との問題、取引先との問題、社員との問題、家族との問題など、その経営者の「抑うつ気分」を引き起こす要因は「仕事」と「家族」との関わりの中にあると考えられます。
経営不振や経営トラブルの状況を、社員や家族にすべてオープンに出来るような経営者であれば、その経営者の「抑うつ気分」はそうでない経営者の半分以下になっているであろうことは、自分の体験からも十分に理解できるし、来社される多くの経営者のそれぞれの様子を拝見しても間違いないと感じています。
「抑うつ気分」になっている経営者との歓談で感じられるのは、明らかに気分の落ち込みを感じていることや、仕事ばかりではなく、趣味や会食などをしていてもスカットした気分になれない「モヤモヤ感」や「むなしさ感」を感じているようです。特に女性経営者にはなぜだか「悲しい」という気持ちで、胸のあたりがザワザワしているというのです。
リスク・カウンセラーとして経営者の相談をはじめた頃のことですが、「抑うつ感」でどうしようもない精神状態の人を前にして、ナニを聴き、どんな言動で対応したらいいのかが自分自身が悩む大きな問題でもありました。
プライベートの話題になっても、昔は楽しめていたことであっても現在はほとんど興味もわかず、楽しいとか嬉しいとかの嬉々とした気分になれない自分を感じると言われます。
|