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  Vol.15 着重ねることは易しくても…
終わりを知り脱いでいくことは難しい!
     
  着重ねることは易しくても…
   終わりを知り脱いでいくことは難しい!
 
 

 サラリーマンとしてではなく、自分の中で燃えてきた事業に対する夢を自分自身で叶えたいと会社を設立している人は毎年数十万人います。コツコツと貯めてきた資金を元手に小さな会社を設立する人、友人知人や投資家などのスポンサーからまとまった資金を募って一気に業界に打って出て新たな風を創り出す人。先代がやっていた会社を承継した場合を除き、いずれにしても、ほとんどの社長は会社を始めた当初には慎ましやかに無駄遣いを押さえ、机もロッカーも自動車もコンピュータも、どれを購入するときも夢を積み上げるような想いをもって手に入れていきます。少しずつであっても、事業の規模を拡大させるためには夜も日も忘れ頑張っています。それでも苦しく感じることはないのです。少しずつながら事業規模を拡大させてきた実績が自分への新たな力となって自信を高め、さらにその自信が意欲となって事業規模が拡大していきます。創業して、がむしゃらに働いていると5〜10年はアッと言う間に過ぎてしまいます。たしかに拡大は心地良いものです。永遠に拡大できると信じていたいでしょう。
  先日「良い死に方が出来るようにするために、周囲の人に感謝しながら毎日を大切に生きています…」という言葉を聞きました。ライフプランを作成する時に、自分の寿命を考慮しないプランを立てる人はいませんよね。
  それと同じように…会社を設立したら、会社がどんな状況になったら止めるのか…、自分はいつまでやり続けるのか…、自分が病に倒れた時はどうするのか…、自分が死んだらどうなればいいのか…など、常に会社を止める時の条件を具体的に描いて経営していくことも大切なことではないかと思います。
  たとえば、急激に売上が下がってしまい、苦しくなった資金繰りを切り抜けるため銀行に融資を申し込んだ際に、自分以外の連帯保証人がいなければ融資が受けられないと言うことになった時…どう決断しますか?。経営を続けるためには出資者を募り資本金を補充しますか?。妻や子供や友人を連帯保証人にして現状のまま会社経営を続けますか?
  売上の減少に応じて、規模の縮小が出来るように英断をふるうことが出来ますか?会社が再生できるか出来ないかは、このように売上規模が激減した時点で、社長がどのように決断し、そして…どのように行動したかがその後になって「再生(再起)分岐点」と言うような大きな問題となっていることを目の当たりにしてきているのです。
  ここを乗り越えさえすれば…、まだ何とかなるだろう…と、後になって取り返しのつかない道を選択していることに気がつかないのです。他人(連帯保証人や債権者のこと)の迷惑より己のことしか考えない社長…まさに「自己中」の社長ほど、周囲を巻き込んでいる場合があります。
  いざとなったらサッ!と、たちどころに企業規模を縮小ができるような自在変容型の経営の方が、いけいけドンドンの拡大型経営者より高く評価されるのでないでしょうか。

 
     
  立ち位置と目線の方向が変わると…
 
 

 経営が苦しくなったとき、目の前の問題を解決することに執拗に意欲を燃やして無駄な時間を費やしている経営者を目にすることが多々あります。目の前に起きた問題に固執しすぎているがために否定的、悲観的になり、周囲の人から見ても明らかに心神耗弱の状態になっている社長の相談を受けることがあります。
  時間をかけて話を聴いていくのですが「問題は必ず解決できますよ…」と言ってから、問題の絡んだ糸をほぐしていきます。目線の高さを変え、視点を変え、方向性を見定めていくことで一気に問題の解決が出来ることが多いのです。

 先日ある方から、自分自身の【「・」と「→」】(点とベクトル、位置と方向)を正しく見極めて行動することの大切さを教えていただきました。問題が起きて目の前が真っ暗になった時でも、先ずは落ち着いて自分が置かれたている立場を認識し、進むべき方向をじっくりと見極めることが大切なのだと思います。
  他人にとっては小さな問題にしか見えないのに、本人にとっては身動きできないほど大きな問題と受け止めてしまっている場合もあります。それを一緒に解決することで苦しみは半分になります。リスク・カウンセラーの仕事って、そんな風に役に立てればいいのかなぁ〜と思っています。

 
     
  振舞水を撒き続けられる幸せを見つけて…  
    真夏の太陽がジリジリと照りつける舗道を歩いている時、植木や舗道にたっぷりと水撒きをしている家の前を通ると、足下から生まれた小さな風がそこを通る人々を癒し、顔が見えなくてもそこの家人の心遣いが伝わってきて嬉しい気持ちになるものです。
  お客様の家に訪問したときに、冷たい麦茶に添えてきつく絞った冷たいタオルをそっと差し出してくださった時なども、同じように家人の心遣いを爽やかに感じることができるものです。
  抱えきれないほどの問題に押しつぶされ、身体も心も疲れ果ててしまっている人々に接することが多い仕事でもあるので、猛暑の道を行き交う人々に潤いと安らぎを感じてもらえるように、いつまでも私なりの振舞水を撒き続けたいと思います。